-小学生の段階で編集力、発信力を向上、点数アップや課題解決力強化も-
新聞記事作りの技術を活用した媒体を制作する当社は、新聞記事の形式を、小学生の普段のノート代わりになるように活用したプリント型教材「Nプリ」シリーズを小学校教諭と連携して開発しました。
各教科の単元ごとに使うプリントから、テストの出題内容を予測するために意見交換するグループ活動用プリントまで、昨年度に計4種類を制作。大切な内容は最初にまとめたり、見出しやイラストも駆使したりして書き込むのが特徴です。
簡潔で的確、訴求力の高い表現ができる力を養い、将来必要な編集力や発信力の向上につなげるのが教材の目的。テストの点数アップや課題解決能力の習得にも役立つように作り込んでいます。
教材は、デスク経験がある元地方紙記者の当社代表と、大阪市の小学校教諭が連携して開発。新聞記事は、伝えたい内容を、分かりやすく、要点を押さえて発信している点に着目しました。その形式をノートの取り方やフレームワーク(思考の枠組み)として活用すれば、将来にかけて必要な編集力や発信力の習得に役立つと考えたのです。
2022年度には、高校の国語で、文章を論理的に書いたりし、実社会で必要とされる力の育成を重視した「論理国語」が始まりました。「実社会」に焦点が当てられた形ですが、こうした力は友達付き合いといった場面でも役立つ力であり、小学生の段階でも習得できるなら身につけていけば良いと考えています。
教材の名称は、新聞とノートの英語表記の頭文字と、プリントを合わせ「N(エヌ)プリ」と命名。以下の4種類を制作しました。
①各教科の単元ごとに使う「Nプリ」
学ぶ内容の見出しを一番上に目立つように書き、次の枠で結論を書きます。その単元で一番大切な内容を一目で理解できるようにするためです。
その結論部分に関する詳細を次の枠に書いたり、理解度をイラストで表現したりもします。
新聞では、記事の内容をまずは見出しで目を引くようにし、次にリード(第一段落)で大事な内容まとめています。その形式などを活用した格好です。
大切なことを最初に打ち出すことが、編集力・発信力を高める訓練になったり、後で見直しがしやすかったりするのが特長です。
最後に感想を書く欄もあり、まとめ部分の「事実」と、意見という「主観」を分けて書く訓練にもなります。
②「課題解決」に向け、グループ活動時の意見交換で使う「Nプリストーミング」
課題解決力育成の重要性が指摘されて久しいですが、そのためのグループ活動時の意見交換用で使うのが「Nプリストーミング」です。
開発時の授業では、テストの出題内容を予想するという「課題」を解決するために使用。出題される可能性が高いと思う順に意見を整理できるように枠を設け、大事なことから先に書くという習慣を身につけさせます。
その一方で、少数派の意見もしっかり明示されるようにしており、公平性への配慮ができる力も養います。
③意見交換を踏まえ、自分の考えを書き込む「Nパシーマップ」
「Nプリストーミング」の結果を踏まえ、一人一人が課題解決に向けた考えを整理できるようにしたのが「Nパシーマップ」です。
テストの出題内容の予想では、たくさんの意見を踏まえ、テストで出題される可能性が高いと思う順に自分の考えで内容を整理。理解度をイラストで表現します。
テストが終わったら、予想が当たったかチェックし、PDCA(計画、実行、評価、改善)を回すためにも役立てます。
④主張する力を養う「Nプリコラム」
論理的文章や発信力の育成をするために開発したのが「Nプリコラム」です。
新聞の社説の形式を小学生が踏襲できるように書き込み枠を設定しました。
見出しは「5・7・5」の形式で伝えたい内容をまとめて表現。伝えたい内容はイラストでも描写する枠を設け、瞬発的に内容を伝える訓練につなげられるようにしています。
「事実」と「主観」を切り分け、理由や事例を記入してもらえるように枠を作っており、主張する力を養います。
この4種類の開発は、「社会」や「総合的な学習の時間」で実際に導入しながら、児童の声を踏まえて使いやすいように改善してきました。
その際、小学校のホームページでは10回近く現場の様子を掲載していただきました。
今後も随時改善しつつ、用途や利用者を広げていきたいと考えています。